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COLUMN

不妊症の主な原因とは

不妊症の主な原因とは

不妊の原因は、女性側、男性側、あるいはその両方にある場合がありますが、検査をしても何も原因がみつからない原因不明不妊が49.3%というデータもあります。現在では、原因が見つからない場合は加齢による不妊と考えられますが、このコラムでは原因が明らかになっている代表的な不妊原因について解説していきます。

1. 女性側の原因
 -排卵因子(排卵障害)
 -卵管因子(卵管閉塞・卵管狭窄)
 -子宮因子
 -ピックアップ障害
 -受精障害
 -着床障害
2. 男性側の不妊
 -造精機能障害
 -精路通過障害(閉塞性無精子症)
 -性機能障害
 -その他
3. まとめ

女性側の原因

排卵因子(排卵障害)

排卵障害とは、月経周期が乱れている「生理不順」や排卵がまったくない「無月経」など、排卵が規則正しくおこなわれていない状態をいいます。
甲状腺など女性ホルモンを出す仕組みに影響を与える病気や、、ホルモンのバランス異常である「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」、本来であれば出産後に多く分泌されるホルモンであるプロラクチンの数値が高い状態の「高プロラクチン血症」などの内分泌性のもののほか、ストレス、極度の肥満または体重減少、不規則な生活なども原因になります。全く月経がない場合、まれに早発卵巣不全(早発閉経)の方もおられます。排卵がうまくいかなければ妊娠はできません。排卵障害の方は「排卵誘発」で対処していきます。

卵管因子(卵管閉塞・卵管狭窄)

卵管が炎症などによって詰まっていると、妊娠はできません。重い月経痛がある女性の場合、子宮内膜症が潜在していることがありますが、この子宮内膜症によって卵管周囲の癒着が起こり、卵管が詰まっている場合があります。
日本では少なくなりましたが、卵管炎や骨盤腹膜炎の原因となるクラミジア感染症にかかったことがある方は、ほとんど無症状のうちに卵管が詰まっていることもあります。卵管因子の方は「体外受精」で対処していきます。

子宮因子

子宮筋腫や子宮の先天的な形態異常などにより、子宮内膜の血流が悪かったり、子宮内に過去の手術や炎症による癒着などがあると、子宮内に到達した胚がくっ付いて育つことを妨げ、妊娠が難しくなります。

ピックアップ障害

卵子は排卵のあと卵管に到達できなければ、精子と出合うことができず受精しません。
ピックアップ障害とは、卵巣から排卵された卵子を、卵管の先端にある卵管采が拾い上げることがうまくいかないことをいいます。人工授精で妊娠が成立しない場合はピックアップ障害の可能性があり、「体外受精」へステップアップします。

受精障害

卵子と精子が出合っても、なんらかの原因で受精現象がはじまらないことを「受精障害」といいます。卵子を包む細胞の殻が固い場合や、精子に卵子の殻を破る力が不足して卵子の中に入れない、または、精子が卵子の中に入っても、卵子を活性化する因子を放出できないなどの理由があります。
人工授精で妊娠が成立しない場合は受精障害の可能性があり、「体外受精」へステップアップします。受精障害の場合は、卵子に直接精子を注入する「顕微授精」を行います。卵子が活性化しない場合は、「電気刺激」や「カルシウムイオノフォア」という薬剤で卵子の活性化を行うこともあります。

着床障害

形態の良い受精卵を移植しても繰り返して妊娠に至らない状態を「着床障害」といいます。着床そのものについて科学的にわかっていることは少なく、着床の障害よりも受精卵の発育自体の問題が大きいと当院では考えています。

男性側の原因

造精機能障害

男性不妊の原因の約90%が造精機能障害です。精子をつくり出す機能自体に問題があり、精子をうまくつくれない状態です。造精機能障害には3つの種類があります。
・精子無力症…精子の数は正常にあるけれど、製造された精子の運動率が悪い症状です。その精子の状態により人工授精や顕微授精などの不妊治療を行ないます。
・乏精子症…精液の中に精子はいるけれど、その数が少ないという症状です。精子の数が基準を少し下回る程度であれば、タイミング法などを行います。さらに精子の数が少ない場合、人工授精、体外受精、顕微授精等の不妊治療を行います。
・無精子症…造精機能障害の中でも重い症状です。精液中に精子が一匹もいない状態ですが、精巣や精巣上体に精子が存在していれば、顕微授精で治療することが出来ます。当院では精子採取術が保険適応されます。

精路通過障害(閉塞性無精子症)

作られた精子がペニスの先端まで通るための道が途中で詰まっていると、射精はできても精子は排出できず、妊娠に至りません。過去の炎症(精巣上体炎)などにより精管が詰まっている場合などがあります。

性機能障害

勃起障害(ED)、膣内射精障害など、性交で射精できないものをいいます。一般的にはストレスや妊娠に向けての精神的なプレッシャーなどが原因と考えられていますが、糖尿病などの病気が原因のこともあります。

その他

・精索静脈瘤…陰嚢内の温度が上がる等から精巣の発育不全などを発症し、精子形成に悪影響を与える
・先天性精管欠損…生まれつき精管が備わっておらず、精子は精巣内に閉じこめられた状態
・膿精液症…前立腺や精嚢等の炎症により、精液中に白血球が増え、精子の運動率を低下させてる状態
・逆行性射精…精液が尿道に送られずに膀胱に逆行する状態

まとめ

女性と男性に不妊原因があること、女性側には排卵因子・卵管因子・子宮因子・その他あり、男性側には造精機能障害が主な原因であることをお伝えしました。
ご結婚前またはご結婚後いつか妊娠を希望する女性と男性を対象に、現在のからだの状態をチェックしたい方は「プレコンセプションチェック」をおすすめしています。現時点で不妊にお悩みの方や治療を検討されている方は「初診予約」を。男性不妊の精子採取術について、当院は保険適用が可能ですので、クリニックをお探しの方は「男性不妊外来」を電話予約にて承ります。

 

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