COLUMN
コラム
2024/09/30
胚盤胞の妊娠率について【日数や評価との関係は?】
胚盤胞の妊娠率はどのくらいなのでしょうか?胚盤胞に成長するまでの日数や評価は影響するのでしょうか?
このコラムでは胚盤胞に成長した日数や評価と妊娠率および出生率についての関係を解説します。
【目次】
1.受精卵の成長と評価、凍結基準
2.胚盤胞の日数と妊娠率
3.胚盤胞の日数と出生率
4.胚盤胞の日数・評価と妊娠率
5.胚盤胞の日数・評価と出生率
6.まとめ
1.受精卵の成長と評価、凍結基準
正常受精が確認できた受精卵は移植に備え培養していきます。
受精卵の成長過程や評価方法については「当院の胚の形態評価について解説」のコラムをご覧ください。
当院では培養5日目~7日目(保険治療は5日目~6日目)に凍結基準に達した評価の胚盤胞を凍結しています。
胚盤胞の評価の例)
当院では成長度が3以上でICMとTEの評価がCCでない(どちらか一方がCの場合は凍結)胚盤胞が凍結の対象になります。
2.胚盤胞の日数と妊娠率
当院で2013年~2023年に採卵をおこない、尚且つ胚盤胞1個の融解胚移植をおこなった約32600件の結果をまとめました。
移植された胚盤胞の日数と妊娠率(胎嚢確認)はこのようになります。
5日目胚では約45%が妊娠できているのに対し、6日目胚、7日目胚と培養日数が増えるにつれて妊娠率が低下していることがわかります。
成長が早い方が妊娠率は高くなっていますが、凍結の基準に達したのが7日目だからといって妊娠する可能性は0ではありません!
3.胚盤胞の日数と出生率
妊娠後に出産された割合はこのようになります。
※当院は分娩の施設がなく正確に出産された方の人数を把握することができません
産院へ転院された80%くらいの方から経過の返信いただいていますので、実際に出産された方はもう少し多いと思います
5日目胚は妊娠すれば60%以上、6日目胚も50%以上の方が出産までされています。7日目胚は5日目胚、6日目胚と比べると10%近く出生率は低くはなりますが、妊娠できれば50%近い割合で出産に至ることがわかります。
4.胚盤胞の日数・評価と妊娠率
胚盤胞の日数だけでなく、評価も気になるところだと思います。胚盤胞の評価にCが含まれているかいないかで妊娠率(胎嚢確認)を出すとこのようになります。
5日目胚でも評価にCが含まれているかいないかで20%以上妊娠率に差があることがわかります。
確かに成長が早く、評価がよい胚盤胞の方が妊娠率は高くなりますが、7日目胚で評価にCが含まれていてもグラフが示しているように妊娠する可能性は0ではないのです!
5.胚盤胞の日数・評価と出生率
妊娠後に出産された割合も胚盤胞の評価にCが含まれているかいないかで分けるとこのようになります。
妊娠したら胚の日数に関わらず評価にCが含まれていても40%以上の方は出産まで至ることができています。
6.まとめ
胚盤胞に成長するまでの日数が早く評価がいい方が妊娠率は高くなります。
ですが成長が遅く、胚評価が良くなくても赤ちゃんとして生まれてくる可能性はあるのです!1)
凍結保存できた胚盤胞は妊娠出産の可能性を秘めていますので、成長が遅い・評価がよくない胚盤胞だから、、、とは思わずに前向きな気持ちで移植に臨んでくださいね