COLUMN
コラム
2023/03/28
卵子凍結(計画的卵子凍結)について詳しく解説
当院は30年の不妊治療経験で培った丁寧な卵巣刺激をはじめ、複数卵採取できる採卵方法、従来の緩慢凍結法に比べ生存率が高いガラス化法で卵子凍結を行います。また患者さんの凍結受精卵を16年間継続保管した実績もございます。
将来に備えて卵子凍結を検討されている方は、まずご受診ください。
卵子凍結とは
卵子凍結(未受精卵凍結)とは受精前の卵子を凍結し保存することです。
がん患者さんが抗がん剤や放射線治療を始める前に卵子を凍結しておく「卵子凍結(妊孕性温存・医学的適応)」と、将来の妊娠にそなえて若いうちに卵子を凍結しておく「卵子凍結(社会的適応/計画的卵子凍結)」がありますが、当ページでは「社会的適応/計画的卵子凍結」についてご説明します。
また、日本産科婦人科学会で作成した卵子凍結をお考えの方への説明動画がありますので、こちらの動画もご覧の上、ご検討ください。
卵子凍結の目的とメリット
女性は年齢を重ねるにつれて妊娠率が低下し、逆に流産率は上昇します。しかし、若い頃の卵子を凍結保存しておくことで、卵子を凍結した年齢の妊娠率と流産率を維持することが期待できます。
【参考】
日本生殖医学会のガイドラインでは、未受精卵子等の採取時の年齢について40歳以上は推奨しないとされています
どれくらいの卵子を保存しておくべきか?
30~34歳の場合、ひとりの赤ちゃんがうまれるのに必要な卵子の数は、12個ほどといわれています。当院では1回の採卵で10~20個採取することを目指します。
卵巣刺激・採卵から凍結保存までの流れ
1 卵巣刺激
ホルモン剤で複数の卵子を育てます
2 採卵
タイミングをみきわめて卵巣から卵子を採取します
痛みのない静脈麻酔下の採卵を実施します
3 凍結保存
ガラス化法で凍結し、将来使用するまで-196度の液体窒素タンクで長期保管します
採卵までの通院モデルスケジュール
1 卵巣刺激周期
生理3~5日目よりスタート。お薬で卵巣内の卵子を育てていきます。
3~4日に1度、超音波検査とホルモン値測定(血液検査)を行い、卵胞の発育をモニタリング。 お薬を調整しながら丁寧に卵子を育てていきます。(通院5回程度/2週間程度)
2 採卵
卵巣刺激周期の初日からおよそ14日程度で採卵します。
※ご本人の状態によってスケジュールや通院内容は異なります。
計画的卵子凍結の費用
●卵巣刺激・採卵・凍結まで : 38万円~
<内訳>
-検査費 : 3~8万円
AMH検査、LH-RH検査、感染症検査、生化学検査、末梢血液検査、血液凝固検査 など
※医師の判断により検査項目が追加される場合があります
-卵巣刺激 : 10~20万円(薬、注射の使用量によって変動します)
排卵誘発剤、ホルモン検査、超音波検査、注射手技料 など
-採卵 : 20万円前後
手術費、静脈麻酔費
-未受精卵の卵子凍結 : 5~15万円(卵子数により変動します)
卵子処理料、未受精卵子凍結
●保存料 : 月額3,080円(税込)
※1ケーンあたり(未受精卵子 最大※40個程度)の金額
※一回の採卵で採取できる卵子の個数によって異なります。
ケーンとは?
卵子を凍結しておくCryotopというデバイスを10本まで保管できる容器のことをいいます。Cryotopが10本を超えると、ケーンが追加されます。
例:Cryotop12本の場合は2ケーン(保存料は2ケーン分となります)
Cryotopには卵子を最大4個まで保存し、将来保存卵子を使用する時はCryotopごとに融解します。
当院の卵子凍結について
当院で行われている凍結方法はガラス化法という方法です。ガラス化法は、受精卵の水分を凍結保護剤と入れ替え、常温から一気に液体窒素の中(-196℃)に浸し凍結を行うため、細胞内で水分が結晶化することなく凍結を行うことができる高度な凍結方法です。
現在、当院で凍結した未受精卵子を融解した際の生存率はおよそ95%です。
助成金について
助成を受けられる場合があります。お住まいの自治体にご確認ください。
卵子凍結費用の分割払いについて
当院で行う卵子凍結に係る費用(採卵費用・凍結費用)は、SMBCファイナンスサービス(株)によるメディカルクレジット制度(分割払い)の対象となります。
当院の分割払い手数料は実質年率5.9%となっております。また一部・全額繰上げ返済も可能です。
リスク等に関する事項
採卵を行う前や治療中、また治療後には、その経過や症状を十分に留意し、しかるべき処置をおこないますが、それでも起こりうる回避できない結果等について下記に示します。
・卵巣刺激に伴う卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生
排卵誘発剤の投与により卵胞が過剰に発育し、黄体期に卵巣腫大、腹水貯留等によりさまざまな病状を呈する症候群です。胃痛・腹部の圧迫感・不快感から始まり、進行すると悪心・嘔吐、下痢、乏尿、呼吸困難、血液濃縮による血栓症が起こることもあります。この症状は、卵胞がたくさんできた(卵子がたくさん採取された)場合や妊娠した時に強い症状を呈することがあります。 現在では、薬剤の選択により、多数卵子が発育してもほとんどOHSSを発症しない方法を実施しています。
・採卵時の麻酔の副作用
当院では採卵中の痛みを除去するために全身麻酔(静脈麻酔)を行います。麻酔薬に対するアレルギー等がある方をのぞけば、ほとんど副作用なく実施できます。休養室のベットで休んで十分麻酔からさめたら帰宅になります。ただし、麻酔後当日の自動車の運転は避けていただきたいです。
・採卵後の腹痛や炎症
採卵操作では、卵巣内の卵胞に針を穿刺するため、膣内だけでなく卵巣穿刺部より腹腔内へ出血する可能性があり、腹痛の原因となることがあります。通常は、痛み止めを使用するほどの痛みはなく、安静の必要性もありません。
当院について
名古屋駅前クリニック、勝川クリニックは下記に該当しています。
1.生殖補助医療実施医療機関として登録
2.医学的適応による未受精卵、胚(受精卵)凍結・保存に関する施設に登録
3.複数の常勤の生殖医療専門医が在籍