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COLUMN

2023/03/24

胚培養士(培養研究部)に関する紹介

胚培養士(培養研究部)に関する紹介

胚培養士は高度生殖医療と呼ばれる顕微授精などの体外受精を実際に行う医療技術者で、体外受精におけるすべての技術的操作を担っています。当院独自の教育プログラムを用意しており、充分な知識や技術を身につけてから実務に入ります。

1. 業務について
2. 教育プログラムの流れ
3. その他の活動
4. 学部・スキル
5. インタビュー

業務について

配偶子や受精卵の培養や調整
体外受精や顕微授精
凍結保存
患者の精子や卵子の処理
受精卵の培養・凍結保存・データ管理をはじめ培養室全体の管理業務など

教育プログラムの流れ

◆基礎を学ぶ
生殖医療に関わる基本項目の取得から始めます。7日間、与えられた基本項目を自習し、今後の培養業務を行なうための基礎を学んでいただきます。同時に、シャーレの持ち方やダブルチェックの方法など、業務の基礎動作を身につけていきます。

◆精子の処理を学ぶ
採取された精液を回収・洗浄し、体外受精や顕微授精に用いることができる状態にします。

◆卵子の操作を学ぶ
受精卵の成長にしたがって培養液を変える必要があるため、専用の道具(パスツールピペット)で卵子を吸い吐きし、次の培養液へ移す操作を学びます。

◆受精卵の凍結・融解を学ぶ
受精卵はそのまま凍結させると水分が凍り、細胞に亀裂が生じてしまうため、水分を除いて凍結保護材と入れ替えます。その後、液体窒素(-196℃)に入れて急速に凍結すると、半永久的に保存が可能です。凍結された受精卵を融解する際は、-196℃から一気に温めます。凍結と融解は、温度と時間が大切になる繊細な操作です。   

◆顕微受精を学ぶ
卵子の中に一匹の精子を注入する操作です。精子の尾部を傷つけて動きを止め、細いガラス針に吸引後、卵子に注入します。卵子と精子の受精における出発点となる重要な操作のため、基礎操作のすべてを終えた人だけが行なえます。  

すべてのステップで項目ごとにラボ長が確認します。教育は実際の患者さまには使用されない卵子や精子、受精卵を用いますので、実務に移るのは充分な知識や技術を身につけてから。経験不足のまま仕事を任せることはありませんので、ご安心ください。

その他の活動

エビデンスに基づいた治療を行うため、学会発表や論文作成などの研究活動にも力をいれています

学部・スキル

農学部、獣医学部、医学部、理学部、工学部、生物資源科学部、応用生物科学部、生命環境科学部 など農学・生物学系出身者
胚培養士、臨床エンブリオロジスト、臨床検査技師


部長インタビュー

培養研究部 福永部長

Q:当院の培養室の特長を教えてください
A:培養室では、「培養環境をかぎりなくお母さんの体内に近づけること」をすべての判断の軸としています。体内で育つ受精卵に人の手は全く介していません。 いつ胚盤胞になり卵管から子宮にたどり着いたのかわからない、いつ着床したのかもわからない、受精卵の成長は「生命の神秘」そのものです。 しかし、胚培養の現場では、受精卵の発育状況が心配なあまり、受精卵にとって最善の環境である培養器の外に出して受精卵の発育状況を確認したり、培養液を過度に交換したりしがちです。そういった培養器外の作業時間が増えるほど、受精卵そのものが持つ力を弱めてしまうことになります。
当院の培養室では、極力受精卵にはさわりません。そして、受精卵に負荷がかかる培養器外での作業はできるかぎり正確に早く行うために高い技術を身につけています。 胚培養環境を「お母さんの体内」に近づけるため、受精卵に手を掛け過ぎず、「いかに培養業務をシンプルにできるか」のための創意工夫や、最善の培養環境を構築するための研究を行っています。 当院の培養室は、既成概念にとらわれないことをモットーに常に進化し続けています。

Q:胚培養士の育成について教えてください
A:当院ではすべての患者さんに最高の技術を提供するため、経験の浅いスタッフからベテランスタッフまで「高いレベルで平均化」することを目標に育成を行っています。
「医療の現場は治療の場であり、トレーニングや初心者が試す場ではない」という考えのもと、研修で一定水準以上の成績が安定して出せなければ臨床には入れません。研修項目のスケジューリング、各指導ポイントの徹底、技術が身についたかどうかテストする際の合格基準も明確に定められています。この育成方法を運用することで、研修項目に合格して臨床に入ったばかりの胚培養士もベテラン胚培養士も成績に個人差なく、高い技術の提供が可能になります。
その他、自己研鑽の支援として学会認定の資格取得支援制度があります。また、交通費や宿泊費を含めた学会参加費の全額負担など、エビデンスに基づいた治療を行うために学会発表や論文作成などの研究活動にも力を入れています。

Q:求める人物像を教えてください
A:当クリニックでは、培養室の質の向上が患者さまの妊娠率の向上につながると信じ、日本一、世界一の培養室を目指して常に最善の培養環境を追求し続けています。スタッフは全員、生殖医療に本気で向き合い、ひとりでも多くの患者さんが妊娠・出産できるように、また、生殖医療がよりよく発展するために熱意をもって毎日の業務に取り組んでいます。生命を誕生させる最前線にいる胚培養士は軽い気持ちで目指せる職業ではありませんが、当院の理念に共感してくれる方と一緒に仕事がしたいと思っています。

Q:仕事環境について教えてください
A:プロの胚培養士になるためには、数多くの研修を行い、高い技術を身に着け、その技術を維持することが必要です。当院では、三年で一人前の胚培養士になることを目指し、研修が組まれています。研修期間中は技術習得のためにたくさんの時間が必要ですが、スタッフが「一生の仕事」として長く働くために育児休業や時短など様々な制度が充実しています。大切に育成するからこそ、長く働ける職場環境を整えています。


主任インタビュー

培養業務課 主任

Q:どんなお仕事をされているのでしょうか。
A:培養室で行われている、採卵(検卵)~受精操作~胚移植、全てを私たち胚培養士が行っています。一人で全てこなしているわけではなく、スタッフが各自その時間に沿った業務を行い一日が進行しています。受精卵の取り違え防止のために全ての操作において操作前にダブルチェックを行い安心安全な業務を行っています。私は主任として一日の業務進行を割り振ることや、次世代の指導を行っています。

Q:胚培養士になろうと思ったきっかけを教えてください
A:大学の講義で生殖学に興味を持ち、自分が学んだ学科で人の医療に携われる職がある事を知り興味を持ちました。まだ認知度の低い胚培養士でしたが情報収集する中で浅田レディースクリニックの技術力の高さとその治療方針を知り、ここで高い技術を身につけ多くの人に貢献したいと思いました。

Q:浅田の魅力を教えてください。
A:浅田レディースクリニックの魅力はやはり浅田院長です。院長の治療に対する考え方・方針、向上心、そして人柄。それらが全体へ影響し、浅田レディースクリニックは常に最新の情報に目を向け、科学的根拠に基づいた最善案を取り入れ前進し続けています。人と時間をかけて技術習得まできっちりとした指導をしてもらえます。また様々な見識のある人ばかりなので一つの事柄に対しても多くの見解が聞けることも魅力の一つです。

Q:胚培養士という仕事の魅力を教えてください。
A:生命の神秘に立ち会えること、そして新たな発見が多い事です。受精卵の発生を観察していると、これがもっと細胞を増やしていって将来赤ちゃんになるんだなぁ~と感慨深くなる時があります。胚培養士として数年働いてきていますが、何時まで経ってもこの生命力には感動を覚えます。仕事の厳しい部分を伝えると、毎日細かい定型作業が多いです。また、毎日受精卵と向き合っているので命の重さを感じすぎてしまう人もいます。この仕事が好きであり、責任感を持ちつつその重責に潰されない精神も持って仕事に臨めることと、プライベートで気持ちの切り替えをしていくことが大切かと思います。

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