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38歳でPGT-Aを実施した場合、胚盤胞の何個に1個正倍数性がありますか?
一般的に、38~40 歳くらいになると、一人の赤ちゃんが生まれるのに、平均して20 数個の卵子が必要だと言われています。
現在のPGT-A は、反復ART不成功例や二回流産を繰り返した人、と比較的妊娠しづらい人を対象としているので、PGT-A の結果はそれほど良いものではありません。胚盤胞の5 個に1 個位が正倍数性かといわれると、一番多い人でその位だと思います。もちろん、10 個中0 個ということもあります。その分布について詳しい表は作っていませんが、当院の診察室には、良い場合・悪い場合を示した表をおいていますので、参照してください。
1 人出産するのに何個の胚盤胞があれば安心か、とのことですが、個人差が大きいので何とも言えません。
平均で20 数個の卵子が必要だといっても、2 個で出産する人もいれば200 個あっても出産できない人もいて、そのバラバラな結果を集めて平均を出せば1/20というだけです。また、その1/20が、最初に現れるのか最後に現れるのかも分かりません。
3 日目胚は何個で胚盤胞1 個とカウントするか、とのことですが、胚盤胞到達率も個人によって全く異なります。平均すると分割した受精卵の3 割くらいですが、8 割9 割が胚盤胞になる人もいれば1 個もならない人もいます。
ある程度正規分布し多くの人がこのくらいで妊娠する、というラインが無いのが生殖医療の特徴です。例えば卵巣予備能の目安であるAMH も、個人差しかありません。いい人と悪い人の差が非常に大きくなっていますし、いい人も悪い人も中間のひとも同じ位たくさんいるという状態ですので、平均値を知ってもあまり役には立ちません。
二人の遺伝子のバランスが悪いために絶対妊娠できない、というカップルがいるとは私は考えていません。受精後の卵子の中では遺伝子は色々な組み換えが起こっています。ヒトの場合、卵子を古くなってから使うため染色体異常も増えていきますが、赤ちゃんまで育つ卵が必ず存在すると信じて不妊治療を行っています。
PGT-A に向いている人、向いていない人はいますか?
PGT-Aに向いている人は、受精卵・胚盤胞の数が多い人です。
PGT-Aは、胚の周りの「胎盤になる細胞」の一部を採取して染色体の数を検査します。染色体の数に異常がないものを正倍数性、多いもしくは少ない場合を異数性といいます。そして、正倍数性と異数性が混ざっている「モザイク」と言われる胚もあります。この「モザイク」と言われるものは、必ずしも異常とは限らず妊娠できる可能性もあります。
また、「胎盤になる細胞」と「赤ちゃんになる細胞」の染色体数は100%一致するわけではありません。なので、PGT-Aをして正倍数性の胚を移植したからといって、必ず妊娠するとは限りません。PGT-Aは、「妊娠できる胚」を選んでいるのではなく、「妊娠できない、あるいは、流産になる可能性の高い胚」を選別していると考えていただいた方が良いと思います。
胚が多くあれば、妊娠できない、あるいは、流産の可能性の高い胚を除いて移植することにより、妊娠率を上げるとともに妊娠までの時間短縮となります。
しかし、受精卵の数が少ない方の場合は正倍数性との結果が得られる胚がなく、結局、移植できずに採卵をくりかえすこともあるためPGT-Aのメリットがあまりありません。
結局、移植をしてみないと本当に赤ちゃんにまで育つ胚なのかは分からないというのがPGT-Aの現状です。