よくある質問

患者さまによって処方される薬が違うのはなぜですか?

掲載日:2021年9月28日

一般的に頭痛や歯の痛み等に対しては、同じような鎮痛剤を処方することが多いので、不妊治療で処方される薬が他人とは違うということに疑問を持たれているのかと推察します。
SNS等で、色々な方がご自身の不妊治療経験を掲載されていますが、不妊治療は人それぞれ条件が違います。同じような症状であっても、他の人と違う治療や薬を処方されることは当然のことなので、SNS等で自身の治療と他の人の治療を比べて「なぜ私はこの治療法ではないのか、なぜこの薬を処方されないのか?」と心配する必要はありません。

体外受精では、まず脳下垂体ホルモンであるFSH、LHの基礎値や女性ホルモンである卵胞ホルモン(E2=エストラジオール)を調べて、AMH値(卵巣の中に残っている卵子の目安)、年齢、胞状卵胞数を参考にしながら、最初の薬の量を決定します。3~4日後にFSH、LHの血中濃度を測定し、E2の上がり具合をみて、どのように薬の量や種類を調整していくかを考えていきます。E2値が低いと、FSHのレセプターが最初から少なく、注射の効果が低いこともあるので、それも調整していきます。また、刺激の途中でE2が高くなると、LHが低くなる傾向もあるため、成熟卵をよりよく採るためにLH活性のあるhCGの低用量を加えることも行います。そのため患者さまには3~4日に1回は来院していただき、その時々の卵胞の数、卵胞の大きさ、卵胞の大きさの分布等を判断し、刺激の後半になれば黄体ホルモンの数値も考慮していきます。
E2やP4(黄体ホルモン)は、血中のFSH、LHが顆粒膜細胞に作用して作られますので、そのメカニズムも頭に描きながら、また、ある程度卵胞が育ってきたらアンタゴニストのタイミングを考えながら、卵胞の数や大きさやホルモン値から、いつ採卵を行うことが最適かの判断をしますが、これも一律ではありません。年齢とAMH値により卵胞の育ちに差が出るため、それらすべてを加味した上で一番良いタイミングで採卵を行うことを常に考えています。

料理に例えると、学校給食やチェーン店など、どこでも同じ味で提供するところでは、同じ材料、同じレシピを使用して作れば味に大きな違いはない料理ができると思いますが、レベルの高いレストランでは、旬の食材をその食材に合わせて一番おいしくなるようにその食材の特徴を考慮しながら料理方法を変えていきます。
専門の不妊治療は後者が望ましく、ヒトの場合、同じ人種であっても遺伝子の構成は大きく違いますし、人それぞれ卵子の状態や卵巣の状態も違い、AMH値も違います。
単純に"この症状にはこの薬を処方する"というような診療は、当院では行っていません。

大事なことは"どれだけ赤ちゃんになる候補である卵子や受精卵を獲得でき、早く妊娠できるのか"ということです。37歳くらいまでであれば、1人の赤ちゃんを出産するまでには十数個の卵子が必要だと言われています。ただ、これが40歳を過ぎると卵子は40個程度、43~44歳になると90個以上、45歳以上になると100個以上の卵子が必要だと言われています。これが卵子の老化により生じる結果です。ほとんどの方は、疾患があるから妊娠しにくいわけではなく、卵子の老化が主な原因で妊娠しにくくなってきますが、卵子そのものを若返らせる治療法はありません。
そのため私たちは、より多くの卵子を獲得して、早く妊娠できることを最優先として治療を行っています。


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