K-systemユーザーミーティング
掲載日:2012年3月21日
2012年1月22日にK-systemユーザーミーティングを当院主催で行いました。
K-systemとはインキュベーターの一つであり、受精卵の培養を行う機械です。
過去に開催された国際学会でK-systemとめぐり合い、K-systemを導入しました。
その後、K-systemの試験運用を行った結果、従来使用していたインキュベーターと比較し同等以上の成績が得られました。
そして現在では勝川・名古屋クリニックで合計18台のK-systemを実際に使用しています。

我々は、国内の学会において臨床データに基づいたK-systemの有効性を報告した結果、K-systemは日本各地の多くの不妊治療施設で使用されるようになりました。
しかし、K-systemの導入を考えている施設やK-systemを導入した施設が抱える共通の問題点や、その解決法を一同に集まって話し合う機会はありませんでした。
そこで当院が主催となりK-systemユーザーミーティングを開催しました。


従来使用してきたインキュベーターは扉が1つの大きな箱型であり1台に複数症例の受精卵を入れて培養するタイプのものでした。
現在でも多くの施設では、このタイプのインキュベーターを主に使用しています。
従来型インキュベーターは1台に複数症例の受精卵を入れて培養を行うことから、扉の開閉回数が多くなり、
培養に適した環境(低酸素環境)を維持することが難しいという問題点がありました。また、1台に複数症例の受精卵を入れるため、
取り違いが起きる可能性も高くなります。 一方、K-systemは1台に10箇所の個別培養スペースがあるため、
10症例の個別培養が可能という画期的な利点があります。
また、個別培養できるため、扉の開閉回数を最小限にとどめることができます。
従来型インキュベーターで10症例を完全個別培養するためには、K-system1台の何倍もの設置面積が必要です。
そのため設置面積も考慮した結果、K-systemの導入に至っています。


開催当日には、北海道から沖縄まで幅広い地域から49施設82人の胚培養士や医師が集まりました。
当院が従来型インキュベーターからK-systemに移行したことで発生した問題点や、
その解決方法などを8つのブースに分かれて当院の胚培養士が説明し、その場で活発な意見交換が行われました。
当院スタッフも他院の胚培養士と意見交換をすることで、新たな発見や問題点などを知ることができ、
有意義な時間を過ごすことができました。
このような意見交換会を開催することで、当院で培われた技術や知識が他施設の胚培養士や医師へ受け継がれ、
日本中の施設の技術向上と一人でも多くの不妊症で悩まれる患者さまの妊娠に寄与できたのではないかと考えています。