受精卵にとって心地よい環境を目指して

受精卵にとって心地よい環境を目指して
~次世代タイムラプスインキュベーターNEXTとは?~

培養機器(インキュベーター)とは、受精卵を始めとした様々な細胞を体外で育成するために、体内環境に近い環境を再現した機械になります。機器内の温度はもちろん、暗所であり、CO2濃度などの気体濃度も一定に保たれています。




低酸素環境にこだわった受精卵培養

私たちが生活している空気中の酸素濃度は約21%であるのに対し、受精卵が発育する卵管子宮内の酸素濃度は5%の低酸素環境です。そのため受精卵の培養は、温度(37℃)・酸素濃度5%が一定に保たれた環境であるインキュベーターの中で行います。

一般的に受精卵の培養では観察や培養液交換などインキュベーターの外に出す操作が必要となりますが、如何に受精卵をインキュベーターの外に出さず、低酸素環境を維持して培養を行うかということが重要になってきます。

そこで当院は、インキュベーターとしてiBIS-NEXTを使用しています。

iBIS-NEXTは当院が国内メーカーと共同開発した次世代型タイムラプスインキュベーターです。



iBIS-NEXTの特徴

①タイムラプスインキュベーターで培養することで、受精卵にとって最適な環境であるインキュベーターに入れたまま受精卵の観察を行えるため、受精卵にかかるストレスを最小限にします。
タイムラプスとは:受精卵観察用のカメラを搭載し、培養中の受精卵の成長を動画として記録すること)

②自動解析技術を用いた前核自動検出機能を搭載しています。 AI技術を用いることで、より正確な受精判定を行います。



前核自動検出機能とは

Deep Learning技術により、コンピューターに既存の前核期胚画像の特徴を学習させることで、前核期胚の前核を自動的に認識できるようになります。

この技術を用いた前核数自動検出にて0PN、1PN、2PN胚でそれぞれ99%、82%、99%という精度が得られました。さらに、2つの前核が重なってしまい前核数の判別しづらい胚画像からも正確な検出ができたことから、熟練した胚培養士と同等の精度を持つ前核数自動検出システムが開発できたと報告しています。

上記の内容の論文が、日本生殖医学会が刊行するReproductive Medicine and Biology誌に掲載されました。 (詳細はこちら



受精卵の成長をモニター上で観察するメリット

正常な受精卵には精子由来の雄性前核と、卵子由来の雌性前核の 2つの前核が見えます。

しかし2つの前核は、受精後20時間程度で融合して1つとなり消えてしまうため受精卵の成長が早い場合には、観察の数時間前に前核が見えていたにも関わらず観察時に前核が消失していることもあります。

タイムラプスインキュベーターで動画として成長過程を記録することにより、今までにできなかった受精卵成長の詳細な解析が可能となり、より確実な受精判定を行うことで、1つでも多くの正常受精卵を確保し患者さまの早期の妊娠に繋げたいと考えています。



iBIS-NEXTに用いる培養Dish

受精卵は、受精後から最大で7日間の体外培養を行いますが、一般的なdrop培養では培養液の環境が悪化しやすく、培養7日間の途中で2回もの培養液交換が必要でした。培養液交換の操作は受精卵をインキュベーターの外に出す必要があり、低酸素環境の維持が必要な受精卵にとっては大きなリスクを伴う作業でした。


drop培養での問題を解決すべく、我々は「Well of the well型培養dish(WOW dish)」という新たな培養dishの仕様を2014年より開始しました。

WOW dishは直径7mmほどのくぼみ(well)の中に、さらに受精卵が1つずつ入る程度のwellが25個並んでいます。この特殊な形状により、 WOW dishは受精卵を同一well内で25個までグループで培養しながら個別に管理することが可能です。

このWoW dishをタイムラプス機器で利用して観察と培養液交換を無くした連続培養系を構築しました。従来法と比較した時、胚盤胞発生率、良好胚盤胞形成率が有意に高かったため、臨床導入を決定し、連続培養系を再構築しました。当院がWoW dishを使用するまでの経緯はDNP社のHPにて紹介されています。(詳細はこちら)

次にWOW培養とdrop培養の培養成績を比較した結果について紹介します。



培養成績の比較

図1. では、受精卵培養5日目に良好胚盤胞へと成長する割合をWOW培養 と drop培養で比較しました。
その結果、WOW培養の良好胚盤胞率はdrop培養に比べて、統計学的に高いことが明らかになりました。

図2. では、WOW培養 または drop培養により得られた胚盤胞を移植したときの妊娠率を比較しました。
その結果、統計学的には差はありませんでしたが、WOW培養の妊娠率はdrop培養と比較して高い傾向がありました。

これらの結果は、WOW培養が治療成績の向上に繋がった可能性が高いことを表しています。国内でWOW dishを使用している施設はごくわずかですが、当院はWOW培養の有効性について、国内外の学会で積極的に発信しています。


WOW dishをiBIS-NEXTで使用することにより、受精卵に優しい環境で培養でき、なおかつ正確で安心な観察を行えるようになりました。

受精卵を培養する技術は日々進歩しており、毎年多くの製品が発売されます。

我々は、常に最新の情報を収集することで製品の取捨選択を行い、高い水準の培養成績を維持しています。今後も培養成績の向上を念頭において改善を続けていきます。

最新の機器導入には、初期費用や専用のdish(受精卵と培養液が入っている容器)が必要となり、通常の何倍もの費用がかかります。その費用について多くの施設では、追加代金として患者さまの負担となってしまいますが、当院では追加でいただいておりません。

「最善の方法で治療を行い、最善の培養環境を整えるのが当然である」 というのが、浅田レディースクリニックの治療方針です。

そのため、当院でより良い機器や培養液を導入したとしても、費用の増額などはなく、適切な料金設定を行っております。
受精卵の培養については当院にお任せしていただき、安心して治療に臨んでいただければと思います。

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