培養室(ラボラトリー)

第70回アメリカ生殖医学会(ASRM)

掲載日:2014年12月24日

ASRM参加メンバー  10月にハワイで開催されたアメリカ生殖医学会(ASRM)に浅田院長および胚培養士4名、研究員1名が参加しました。
 ASRMは規模の大きな学会であり、世界各国から生殖医療に関わる最新の知見が1000題以上報告されました。
 発表形式はポスター発表、口頭発表、ビデオ発表などがあり、当院からは、ビデオ発表1題とポスター発表3題の合計4演題の発表を行いました。
 今号では、当院から発表された演題内容と、参加した胚培養士の感想を紹介します。

学会発表内容のご紹介

タイトル:ESTABLISHING A CONTINUOUS BLASTOCYST CULTURE SYSTEM WITHOUT DIRECT OBSERVATION AND EXCHANGE OF CULTURE MEDIUM BY  EMPLOYING A TIME-LAPSE INCUBATION SYSTEM
(タイムラプスシステムを用いた観察や培養液交換を不要とする胚盤胞への連続培養法の確立)

ASRM参加メンバー1 受精卵は胚盤胞までの培養期間に1~2回の観察と培養液の交換をすることが必須だと考えられていました。しかし、観察や培養液の交換はインキュベーターと呼ばれる培養器から取り出し空気中で操作しなければなりません。受精卵を良好な状態で発育させるためには空気に触れる時間を極力少なくする必要があり、作業に矛盾が生じていました。
 そこで、当院では本来の培養環境として望ましい状態を維持するためにタイムラプスシステム(受精卵を培養しながら連続撮影する機器)を用い、更に培養液の交換が不要な新しい培養液を組み合わせることでインキュベーター外での観察と培養液交換を無くした新しい培養方法を確立しました。この培養方法で受精卵の発育も向上することがわかりました。私たちが報告した新しい培養方法は日本の他施設も取り入れ始めています。



タイトル:ASSESSMENT BY TIME-LAPSE OF THE DEVELOPMENT POTENTIAL OF MI OOCYTES MATURED IN VITRO AFTER CUMULUS CELL REMOVAL
(卵丘細胞除去後M1からM2へ成熟した卵子の臨床的有効性の検討)

ASRM参加メンバー2  採卵後の卵子は、卵子の周りは卵丘細胞で覆われています。
そのため、顕微授精の対象となる卵子は卵丘細胞を除去し成熟確認を行います。当院では、卵丘細胞除去後に成熟していなかった卵子に対して、追加培養を数時間実施し、再観察時に第一極体を放出していた卵子(成熟卵子)に受精操作を行っています。
 私たちは、このような追加培養後に成熟した卵子由来の受精卵を移植した症例で挙児を得る経験をしています。
 私の発表はこの事について、さらに検討を進め、卵丘細胞除去後の追加培養によって成熟する卵子の割合や受精率・胚盤胞発生率などを算出した結果、極少数の卵子しか採取できなかったり、未成熟卵子のみしか得られなかった症例に対しての追加培養は臨床上有効であるということを報告しました。



タイトル:THE USE OF TIME-LAPSE OBSERVATIONS TO CONFIRM PRONUCLEI FORMATION AND FERTILIZATION
(前核の形成と受精の確認に特化したTime-lapse機器の使用)

ASRM参加メンバー3 私はポスター発表をさせていただきました。発表の内容はこれまで見えなかった受精する瞬間、そして受精卵の成長をTime-lapse Imagingで捉えることで、受精卵を多く獲得することに成功したというものです。当院がいち早く取り入れたTime-lapse Imagingと呼ばれる最新の培養機器は、受精卵を安定した環境で培養できる上に、胚の成長過程を動画として記録することができます。
 これまでの受精確認は倒立顕微鏡下で観察を行うため、受精卵の成長の一過程しか見ることができませんでした。しかし、この機器を受精確認に適応させることで、9.7%もの受精卵を救済することができました。これからも最新の機器を導入しその利益を患者様に還元していきたいと考えています。



タイトル:PATERNAL CHROMOSOME DYNAMICS AFTER INSEMINATION WITH SPERM OF LOW ABILITY TO ACTIVATE OOCYTES AND THE RESCUE OF NON-ACTIVATED EMBRYOS AFTER ICSI BY ARTIFICIAL ACTIVATION
(卵子活性化能の低い精子を用いたICSI後の雄性染色体動態と人為的活性化処理による不活性化胚のレスキュー)

ASRM参加メンバー4 私は昨年のASRMに引き続き、ビデオセッションで発表をさせていただきました。ビデオセッションとは、研究の内容を説明する8分間の動画を作成し、学会場でその動画を上映するという発表形式のセッションです。
 私の演題は、ICSIによる媒精後、前核が形成されにくい症例について、その原因が卵子にあるのか、または精子にあるのかをライブセルイメージングという技術を用いて明らかにしたという内容です。今回検討を行った症例は、精子側に原因があることが明らかになり、このような症例には媒精後の適切な時間に人為的な卵子活性化処理を行うことが有効であることを示しました。学会に参加することで得られた最新の知見を、今後の研究に活かし、一人でも多くの患者様の治療に役立てるような研究をしていきたいと思います。

ASRM参加した胚培養士の感想

ASRM参加の感想1 ASRM参加の感想2  アメリカ生殖医学会(ASRM)は、ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)と並ぶ、世界で最も大きな生殖医療に関する学会の1つです。開催都市は毎年異なり昨年のボストンに続いて、今年はハワイでの開催となりました。
 会場や参加人数の規模は、国内学会とは比べるものにならないほど大きく、使用する言語も全て英語であるため学会期間中は常に刺激を受けました。国際学会へ参加することで、自身の英会話能力を向上させなければならないと強く感じました。企業ブースでは、当院でも採用している受精卵観察用のカメラを搭載したインキュベーターに注目したところ、日本で販売されていない様々なタイプがありました。中でも培養初期の受精卵の成長速度から、胚盤胞になる可能性の高い受精卵を自動で判別するインキュベーターは強く印象に残っています。
ハワイといえば最近、ハワイ系のパンケーキ店が日本に上陸しブームとなっています。右の写真はアロハキッチンというお店でいただいたフワフワ食感のスフレパンケーキです。日本にもお店があるので、気になる方は調べてみてください。
 今後も国際学会には積極的に参加することで、最新の知見を学び、患者さまの治療に還元していきたいと考えています。


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