培養室(ラボラトリー)

体外での受精操作について

掲載日:2012年6月12日

 高度生殖医療(ART)では、本来であれば体内で行われる卵子と精子の受精を体外で行います。この受精操作には2種類の方法があります。1つは、卵子の細胞質内に直接精子を注入することで受精させる顕微授精(ICSI)、もう1つは卵子の周りに精子をふりかけて精子自らの力で受精させる体外受精(Conventional-IVF)です。
これらの方法により得られた正常な受精卵は体外で一定期間培養し、子宮内に移植されます。ARTにより誕生した赤ちゃんは世界で500万人を超え、日本でも毎年約2万人(誕生する赤ちゃんの約50に1人の割合)の赤ちゃんが誕生しています。
 今号では、顕微授精(ICSI)と体外受精(Conventional IVF)について分かりやすく説明いたします。

顕微授精(ICSI)

顕微授精(ICSI) 卵子は120μm(約1mmの1/10)と顕微鏡で拡大しないと見えない大きさのため、ICSIには高度な技術や経験、設備が必要となります。運動精子が少なく精子の運動が弱い、また抗精子抗体陽性など受精障害のある患者さまは体外受精による受精が難しい場合があり、このような症例にはICSIが必要となります。
 当院では、泌尿器科のドクターと連携し無精子症の患者さまへの治療として顕微鏡下精巣精子回収術(MD-TESE)や精巣上体精子回収術(MESA)で採取された精子を用いてのICSIも行っています。
顕微授精(ICSI)の説明
①ガラス管で卵子を固定します。細いガラス針には1精子吸引します。
②精子を細いガラス針の先端に止めた状態に保ちます。
 この状態で針先を押し進めて卵子の細胞膜を破り、細胞質の中に精子を入れます。

ICSIのポイント!
ICSIは、たくさんの精子の中から受精に適した形態が良く運動性の高い精子を選択し受精操作に用います。
そして選んだ精子に不動化という処理を行います。精子不動化では精子の尾部を細いガラス管でこすりつけることによって精子の運動を止めます。この処理は、精子から卵子を活性化する因子を漏出させるきっかけとなります。精子不動化を行った直後にICSIを行うと、精子から卵子細胞質内に卵子活性化因子が漏出し、受精へと繋がります。そのためICSIにおいて精子不動化は重要なステップとなります。

体外での受精操作について

体外での受精操作について 体外受精(Conventional-IVF)
 体外受精とは、採取された卵子を体外受精用の培養液に移し、卵子の周りに濃度を調整した精子を加えて受精させる方法です。
利点は、精子自らの力で卵子の透明帯を通過して受精するため体内での受精環境に近いことです。 しかし、欠点として運動精子数が少ない場合や、精子の運動が弱い場合、また原因不明の受精障害のある患者さまは体外受精による受精が難しい場合があり、時には全く受精卵が得られない場合もあります。そのため当院では初回の治療でも体外受精と顕微授精を併用することを基本としています。また前回の治療で、体外受精の受精率が良くなかった場合や採取された卵子数が少ないときには受精操作はICSIを優先しています。

取り間違いを防ぐために

培養室では患者さまの大切な受精卵や精子を扱います。このとき、受精卵や精子の取り間違いは絶対にあってはなりません。私たちは取り間違いを防ぐために、全ての培養業務においてダブルチェックを徹底しています。
ダブルチェックとは、患者さまの受精卵や精子を扱う際、患者さまの氏名を2人の胚培養士が同時に確認を行うことです。そのため、ダブルチェックは培養室内の業務の中で最も重要な仕事の1つです。 体外での受精操作について  ダブルチェックの他に、取り間違いを防ぐ試みとして、患者さまの氏名を「赤・青・緑・黒・紫・茶・オレンジ」の7色に分けています。
氏名だけでなく、色によっても識別することができるため、同姓や同名の患者さまがいたときに識別が容易となります。
 ダブルチェックを行う場面は数多くありますが、具体例として「受精卵の移し替え時のダブルチェック」をご紹介します。
「受精卵の移し替え」とは、受精卵を新しい培養液に替える操作のことです。当院では、培養3日目と5日目に培養液の交換を行います。ダブルチェック時には2名の胚培養士が記録用紙を基に以下のような患者様識別の3原則に従って患者さまの名前を声に出し、指さし確認を行います。

患者様識別の3原則
①患者様氏名のフルネーム、②診察券番号、③氏名の色

体外での受精操作について 当院ではダブルチェックにもトレーニングを導入し、トレーニングに合格したスタッフ同士でないとダブルチェックを行うことができません。培養研究部には胚培養士が20名在籍しているため、全ての培養業務に細かなダブルチェックを導入することができます。これらのチェック体制は日曜祝日問わず毎日十分なスタッフを勤務させ滞りなくまた例外なく実施し、培養業務に努めています。



胚培養士(エンブリオロジスト)のお仕事紹介 一覧

品川クリニック
品川駅徒歩3分

無料説明会
毎月開催
完全予約制

1分でわかる浅田LCの治療方針特徴