培養室(ラボラトリー)

研究の臨床応用に向けて -続編-

掲載日:2011年12月16日

浅田生殖医療研究所での研究について紹介します( 前回の生殖医療研究所の続き)。今月号ではライブセルイメージングという技術が「どのように臨床に応用できるのか」について紹介していきます。

 不妊症の主な原因の1つとして卵子の発育不全があげられます。 卵子の発育不全の要因は、母体の高齢化や染色体の異常と考えられています。 我々胚培養士は、受精卵の観察に倒立顕微鏡を用います。この観察では受精卵を形態的にしか評価することができず染色体の異常を見分ける事ができません。  初期胚ライブセルイメージング技術は、蛍光タンパク質を用いることで形態だけでは判断のできない受精卵の染色体の正常性を判断することができます。

マウス受精卵
左が正常なマウス受精卵、右が異常なマウス受精卵。
染色体の異常は形態だけでは見分けることができません。

 このような技術が臨床応用できるようにマウスを用いた研究を行っております。実際にマウス受精卵を観察した画像を紹介します。 この技術は受精卵の染色体を蛍光タンパク質で染めることができるため、染色体異常による染色体の置き忘れを観ることができます。マウス受精卵を用いた研究では染色体の置き忘れが起こると着床しても流産となることが分かりました。マウスではこの技術により、早期流産を回避し妊娠・出産に結びつけることが可能となりました。まだ研究段階であるため、患者さまにこの技術を提供することはできませんが、マウスを用いて有用性に関する基礎的なデータを集めることで患者さまの妊娠・出産に大きく貢献できるよう研究を続けていきます。

ACS模式図 黄矢印のように染色体の置忘れが観られる異常なマウス受精卵(ACS)であっても、正常なマウス受精卵(NCS)と見た目が変わらない良好な胚盤胞に成長しますが、このような胚は着床をしても結果として流産となります。


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