培養室(ラボラトリー)

品川クリニック培養室ってどんなところ?

掲載日:2019年2月 8日

前号に引き続き、今号でも品川クリニックの培養室について詳しくご紹介していきます。

品川クリニックの培養室の特徴
「生命を育む森」をコンセプトに作られ、木漏れ日が降り注ぐような明るく開放的な培養室です。
日本最大規模で年間採卵6000症例を受け入れ、全ての症例を個別にタイムラプス培養することが可能です。
培養室は受精卵に最適な環境を整えたクリーンルームです。

その中でも特にこだわった設備をご紹介します

iBIS-NEXT(アイビス-ネクスト)
当院が国内メーカーと共同開発した次世代型タイムラプスインキュベーターシステムを導入しています。全症例をタイムラプス撮影を 行いながら受精卵に最適な環境で培養しています。
iBIS-NEXT(アイビス-ネクスト)

iBIS-NEXTの特徴!
・タイムラプス培養することで、受精卵にとって最適な環境であるインキュベーターに入れたまま 受精卵の観察を行えるため、受精卵にかかるストレスを最小限にします。

・自動解析技術を用いた前核自動検出機能を搭載しています。 AI技術を用いることで、より正確な受精判定を行います。

・バックアップ電源により非常事態の対策も万全としています。


Viewer Station (ビューワーステーション)
iBIS-NEXT(次世代型タイムラプスインキュベーター)で撮影された動画はViewer Station(ビューワーステーション)でいつでも見ることができます。
受精卵の成長を記録した動画をみることで正確な胚評価をすることができます。
Viewer Station (ビューワーステーション)
開放的なクリーンベンチ(作業机)
品川培養室では高度なクリーンルームであることや運用方法を踏まえ、屋根のないクリーンベンチ(作業机)を選択しました。 開放的で見通しのよい環境で作業ができます。クリーンルームであるため屋根がなくても清潔に作業を行うことができます。
開放的なクリーンベンチ(作業机)
生命を育む森である培養室の中には動物たちがたくさんいます!!
ぜひ見つけにKOMOREBI Terrace
(培養室見学スペース)にいらしてください!
生命を育む森である培養室の中には動物たちがたくさんいます!!

孵化補助(Assisted hatching:AH)

掲載日:2016年12月16日

前号は胚盤胞の孵化と妊娠・流産率についてご紹介しました。
今月号では当院で行っているAH について詳しくご紹介します。

AHとは

AH は透明帯にレーザーを照射することで孔を開けるレーザー法や先端の鋭利なガラス管で透明帯に直接切り込みを入れて孔を開ける透明帯切開法、酸性溶液を透明帯に吹きかけ透明帯を溶かす酸性タイロード法などの方法があります。
その中で当院ではレーザー法を採用しています。レーザー法を採用している理由は、非常に安全性が高く、更に他の 孵化補助の方法と比べて簡易的かつ迅速にAHを行うことができるためです。
レーザーは透明帯だけに照射するため内側にある細胞質に悪影響を与えることはありません。
AHは開孔と菲薄化(ひはくか)を症例によって使い分けているため、それぞれの違いについてご紹介します。

孵化補助(Assisted hatching:AH)1
  画像をクリックで拡大

孵化補助(Assisted hatching:AH)2
  画像をクリックで拡大

まとめ

孵化補助(Assisted hatching:AH)3

当院で行った解析の結果、孵化した状態の胚盤胞を移植したほうが妊娠率が高いことが明らかになっています(季刊誌vol.23参照)。そのため、当院で移植を行う受精卵は、基本的にAHを行っています。今回はAHについてご紹介しましたが、当院ではより良い状態で受精卵を患者さまに移植できるよう、国内外の学会で最新の情報を収集・解析しています。今後も継続して最新の情報を収集し、効果の高い方法を患者さまに還元できるよう改善を続けていきます。


胚盤胞の孵化と孵化補助

掲載日:2016年9月15日

 当院では移植予定の受精卵に対して、アシステッドハッチング (Assisted Hatching:AH)を行っております。 日本語訳をすると、「Assisted=補助」 「Hatching=孵化」である為、「Assisted hatching=孵化補助」という意味になり、我々は略してAHと呼んでいます。受精卵は着床前に孵化をする必要がありますが、 AHは、その孵化を人工的に補助する技術です。今月号では、胚盤胞の孵化について紹介いたします。

胚盤胞の孵化と孵化補助1

①受精卵は透明帯という殻の中で胚盤胞へと成長する。
②胚盤胞は成長と共に透明帯を押し広げ、やがて透明帯に亀裂が生じる。
③胚盤胞は透明帯の亀裂を押し広げていく。
④胚盤胞は透明帯の外へ出て、子宮内膜に着床する。

⇒胚盤胞が透明帯の外に出ていく一連の流れ(②~④)を「孵化」と呼ぶ


胚盤胞の孵化と妊娠・流産率について

通常、胚盤胞は上記①~④の流れで着床します。しかし症例によっては透明帯が通常より厚いことや 硬い場合があります。そのような場合、胚盤胞は透明帯を破れず孵化できなくなる可能性があります。

孵化の有無と妊娠・流産率の関係

左の表は、孵化の状態と妊娠・流産率の関係を表しています。当院で行った検討により、孵化している 状態で移植した胚盤胞(上の図②~④の状態)は、孵化していない胚盤胞に比べて妊娠率が高いことが明らかとなっています。

          ↓

①受精卵は透明帯という殻の中で胚盤胞へと成長する。

          ↓

孵化を補助するためレーザーによって透明帯を薄くしたり穴を開けています。 これを孵化補助(AH)と言います。


WOW dish ユーザーミーティング

掲載日:2016年6月17日

WOW dish ユーザーミーティング  当院では、 Well of the well 型培養dish(WOW dish)を用いた新しい培養方法「WOW培養」を採用しています。季刊誌vol.20(2015.12発刊)では一般的な培養方法であるdrop培養とWOW培養の違いについて紹介しました。続く季刊誌vol.21(2016.3発刊)では、drop培養とWOW培養の培養成績を比較した結果、WOW培養を行うことで培養成績が向上したことを紹介しました。
このように、我々はWOW培養の有効性を明らかにしてきましたが、日本国内でWOW培養を採用している施設は僅かであり、認知度は低い現状があります。

WOW dish  そこで当院は、WOW培養の有効性を全国の他施設に広く知っていただくことを目的として、 2016年4月に「WOW dishユーザーミーティング」を主催しました。今月号では、WOW dishユーザーミーティングの様子について紹介させていただきます。
 本イベントには、WOW dishの使用方法や臨床データに関して疑問を持つ35施設56名の胚培養士にご参集いただきました。当院がこれまでに実施してきたWOW dishを用いた培養成績の報告や、現場での使用方法などの情報発信を行うことで、参加者と活発に意見交換をすることができました。

WOW dish ユーザーミーティングの様子
双方向対話型セミナーでは、参加者と活発な意見交換を行うことができました。さらに顕微鏡を使用しての実践的なワークショップでは、WOW培養に関する疑問を解消していただくことができ、終始にぎやかな雰囲気でした。


WOW dish  参加者からいただいたアンケートでは、「とても勉強になりました。参加してよかったです」「常にいろいろと聞ける環境でとても良かった。明日からの臨床業務でも実践できるように、実技を教えていただけたところが良かった」等のご感想をいただき、大変ご好評いただきました。 また、当日のスタッフの対応についても、「質問に対して的確に答えてくださった」「胚培養士の方がとても丁寧で、分かりやすかった」などの感想をいただきました。



浅田レディースクリニックでは、今後もイベントやセミナーを開催し、 生殖補助医療向上のために有益な情報を発信し続けたいと考えております。


WOW dish を用いた培養成績について

掲載日:2016年3月28日

当院では、 Well of the well 型培養dish(WOW dish)を用いた新しい培養方法(WOW培養)を採用しています。
前号の季刊誌vol.20では、WOW 培養と従来の培養方法(drop培養)の特徴について紹介し、 WOW dishを採用した理由について紹介しました。
今月号では、 WOW培養とdrop培養の培養成績を比較した結果について紹介します。

培養方法

WOW培養 WOW培養
WOW dishは直径7mmほどのくぼみ(well)の中に、受精卵が1つずつ入る程度のwellが25個並んでいます。この特殊な形状により、 WOW dishは受精卵を同じ環境内で25個まで個別に管理しながらグループで培養することが可能です。

drop培養 drop培養
drop培養は、プラスチック製のシャーレに滴下した培養液に受精卵を1つずつ入れ個別に管理・培養する方法です。この方法は様々な施設で広く行われている一般的な培養方法です。

培養成績の比較

図.1 WOW培養とdrop培養における
培養5日目の良好胚盤胞率の比較 図.1 では、受精卵培養5日目に良好胚盤胞へと成長する割合をWOW培養 と drop培養で比較しました。
その結果、WOW培養の良好胚盤胞率はdrop培養に比べて、統計学的に高いことが明らかになりました。
図2. では、 WOW培養 または drop培養により得られた胚盤胞を移植したときの妊娠率を比較しました。その結果、統計学的には差はありませんでしたが、WOW培養の妊娠率はdrop培養と比較して高い傾向がありました。


図.2 WOW培養とdrop培養における妊娠率の比較 これらの結果は、WOW培養が治療成績の向上に繋がった可能性が高いことを表しています。国内でWOW dishを使用している施設はごくわずかですが、当院はWOW培養の有効性について、国内外の学会で積極的に発信しています。
受精卵を培養する技術は日々進歩しており、毎年多くの製品が発売されます。
我々は、常に最新の情報を収集することで製品の取捨選択を行い、高い水準の培養成績を維持しています。今後も培養成績の向上を念頭において改善を続けていきます。


低酸素環境に拘った受精卵の培養

掲載日:2015年12月18日

インキュベーター  私たちが生活している空気中の酸素濃度は約21%であるのに対し、受精卵が発育する卵管子宮内の酸素濃度は5%の低酸素環境です。そのため受精卵の培養は、温度(37℃)・酸素濃度5%が一定に保たれた環境であるインキュベーターの中で行います(季刊誌vol.9参照)。一般的に受精卵の培養では観察や培養液交換などインキュベーターの外に出す操作が必要となりますが、如何に受精卵をインキュベーターの外に出さず、低酸素環境を維持して培養を行うかということが重要になってきます。今月号では、低酸素環境を維持するために行っている当院独自の培養方法について紹介します。

従来の培養方法

 従来の培養方法は、プラスチック製のシャーレに微少に滴下した培養液に受精卵を一つずつ入れる方法(drop培養)で行われていました。この方法は様々な施設で広く行われている一般的な培養方法です。
drop培養  受精卵は、受精後から最大で7日間の体外培養を行いますが、drop培養では培養液の環境が悪化しやすく、培養7日間の途中で2回もの培養液交換が必要でした。培養液交換の操作は受精卵をインキュベーターの外に出す必要があり、低酸素環境の維持が必要な受精卵にとっては大きなリスクを伴う作業でした。

WOW dishを使用した新しい培養方法

WOW dish drop培養での問題を解決すべく、我々は「Well of the well型培養dish(WOW dish)」という新たな培養dishに着目しました。
WOW dishは直径7mmほどのくぼみ(well)の中に、さらに受精卵が1つずつ入る程度のwellが25個並んでいます。この特殊な形状により、 WOW dishは受精卵を同一well内で25個までグループで培養しながら個別に管理することが可能です。
WOW dish横から さらにWOW dishはdrop培養よりも培養液量が多く、drop培養で問題であった培養液交換を必要としないため、低酸素環境を維持した受精卵にとって最適な環境で培養することが可能となりました。次号では、drop培養とWOW dishを使用した培養成績の比較についてご紹介します。


胚培養士の指導について2

掲載日:2015年9月25日

dishを培養器に入れる様子  今月号では先月号の季刊誌vol.18(2015年6月発刊)に引き続き、胚培養士のトレーニングについて紹介させていただきます。当院では、教育システムとして業務習得カリキュラムを設け、各項目の基準に
 合格したスタッフでなければ治療に携わることができません。最終的な合格の判断は部長が行い、技術にブレが生じないようにしています。
 胚培養士の指導について紹介することで、「若い=未熟」ではないということを知っていただけたらと思います。

胚培養士の指導について2

今回は数あるトレーニングの中でもdish持ちのトレーニングと、その指導について紹介させていただきます。dishとは受精卵を培養する容器を指しています。
「安心・安全」に持つことを通して、患者さまからお預かりした大切な卵子、胚を持つ責任を担うこと、培養業務において卵子・胚の安全が最優先であることを学びます。

dish持ちトレーニング

私たちが行う培養業務の多くは、dishを培養器から顕微鏡やクリーンベンチに移動することが必須になります。そこで、万が一dishを落としてしまったり傾けてしまったりしないように、当院の胚培養士はしっかりとdishを持つことからトレーニングを開始します。最初は、何も入っていないdishを持ち運ぶことを「安心・安全」の面を重点に経験を積んだスタッフが確認・指導します。

dishを持ち上げる様子

指導ポイント ・無理な力が入っていない
・自然に手と身体が持ちに行ける
・見ていて安心できる

dishを持ち上げる様子2 まずは、手に無理な力をかけずに自然と持ち上げるようにトレーニングします。
dishを持つことがスムーズになってきたら、障害物(スタッフ・ゴミ箱・椅子)を想定したトレーニングを積み「胚が第一優先である」ことを理解しているか確認します。いつ・どんな時でも手を添え両手で持つことを徹底しています。このトレーニングに合格して初めて、卵子・胚が入っているdishを持つことができます。


胚培養士の指導について

掲載日:2015年6月19日

初診説明会時に患者さまにご協力いただいている培養室見学

胚培養士の指導について アンケートには「胚培養士の見た目が若い」というコメントが多く寄せられます。私たちは、見た目の若さが患者さまにとって不安要素とならないようにしたいと考えています。
そこで、季刊誌vol.11(2013年9月発刊)では、日本卵子学会の認定資格を有する生殖補助医療胚培養士と当院の胚培養士の経験年数を比較し、当院の胚培養士の方が経験豊富であることを紹介しました。
今号では、胚培養士の指導について紹介することで、「若い=未熟」ではないということを知っていただけたらと思います。

胚培養士の指導について

当院では、教育システムとして業務習得カリキュラムを設け、各項目の基準に合格したスタッフでなければ治療に携わることができません。最終的な合格の判断は部長が行い、技術にブレが生じないようにしています。今回はダブルチェックのトレーニングと、その指導についても紹介させていただきます。若く見える胚培養士もいますが、このような厳しい体制の下で業務を行っていますので安心して受精卵や精子を任せていただければと思います。
 

ダブルチェックのトレーニング

培養室では患者さまの大切な受精卵や精子を扱います。このとき、受精卵や精子の取り間違いは絶対にあってはなりません。私たちは取り間違いを防ぐために、全ての培養業務においてダブルチェックを徹底しています。ダブルチェックとは、患者さまの受精卵や精子を扱う際、患者さまの氏名を2人の胚培養士が「指差し」「声だし」で同時に確認を行うことです。
例えば、受精卵を移動させるとき、体外受精で卵子が入っているdishに精子を入れるとき、胚移植を行うときなど、全ての作業工程でダブルチェックが必要となり、取り違えを防止しています。そのため、ダブルチェックは培養室内の業務の中で最も重要な仕事の1つです。
当院へ入職した胚培養士は、実際の培養業務を教わる前にダブルチェックの重要性について学び、ダブルチェックのトレーニングを行います。ダブルチェックにも合格基準が存在し、合格しなければ臨床業務においてダブルチェックを行うことはできません。トレーニングを積むことで、自らの下した判断に責任が伴うことを自覚させます。
ダブルチェックのトレーニング
これらのチェック体制は日曜祝日問わず十分なスタッフを勤務させ例外なく実施することで安心・安全な培養業務に努めています。


移植予定の受精卵を動画でお渡しする理由

掲載日:2015年3月24日

当院では、移植予定の受精卵を動画としてCD-Rに保存し患者さまにお渡ししています。
今月号では、受精卵を写真ではなく動画として患者さまにお渡ししている理由についてご説明します。
受精卵を顕微鏡で観察
当院では開院以来、移植時にお渡している報告書には受精卵の写真は載せていません。また、体外受精 コーディネーターが行っている移植前説明においても受精卵の説明は動画を用いております。それは、受精卵の写真は観察時のピントを1点でしかとらえることができず、受精卵の評価を説明する情報として不十分であると考えているためです。皆さんご存知のように、受精卵の形は球体です。私たち胚培養士は受精卵を顕微鏡で観察する際にはピントを変えることで平面ではなく立体的に受精卵の状態を確認し評価します。
下の図と写真からお分かりいただけると思いますが、観察時のピント位置によって観察像は大きく異なります。

ピント3点での観察像
ピント3点での観察像 実際の観察では顕微鏡を操作し、受精卵の上部から底部まで満遍なくピントを変えて評価しますが、ピント①~③の位置でピントを固定した場合、写真のようになります。細胞数を数えてみてください。ピントの位置によって、見える細胞数が違っていることが分かるかと思います。(写真の細胞数は6個)
ピント①の中央部分にはフラグメントが見られます。フラグメントとは受精卵が細胞分裂をする際に発生する細胞断片であり、少ないほど良好な受精卵です。フラグメントにおいてもピント①~③の観察する位置によって見え方が違っていることが分かると思います。


観察時の映像CD-R そのため、患者さまに受精卵の情報を提供するときは、ピントを変えることで受精卵の状態を正確に確認していただける動画を使用しています。移植当日には最も評価の良い受精卵を選択し移植するために観察し評価を行いますが、患者さまにお渡ししているCD-Rは、この観察時の映像を録画したものになります。
CD-Rは患者さまに移植した受精卵の記録として、ご家庭で大切に保管していただけたらと思います。


年末の培養室では何が行われているのか?

掲載日:2014年12月24日

 当院では、年末年始の採卵は行っておりません。
患者さまから、「年末年始にかかわらず採卵や移植を行いたい」という声があるのは承知しております。ここでは、この時期に培養室では何が行われているのかを説明させていただきます。
 1年間休むことなく使用した培養機器は、翌年も動かし続けるために大規模なメンテナンスが必要となります。 そのため年末の培養室では、培養業務に使用する各種機器のメンテナンスや解体・清掃を行います。培養室内に培養中の受精卵があると、培養機器を清掃するために解体することはできません。このような理由から、この時期は採卵や移植を中止させていただいております。
具体的には以下のような業務があります。
培養室の点検清掃

年末年始に必ず行う業務
 ①インキュベーター(培養器)の清掃・メンテナンス
  加湿型インキュベーター  → 解体して、各部品を水洗い後に高圧蒸気滅菌
  無加湿型インキュベーター → 培養中の受精卵がないため、アルコールを使用して拭き掃除

    メンテナンス
      ・フィルターの交換、CO2センサー・O2センサーの交換、ポンプの交換、UVランプの交換

 ②クリーンベンチ(受精卵の移し変え等で使用する作業台)の清掃
  → 解体して、各部品を水洗い後にUV滅菌

クリーンベンチの清掃
 当院の培養成績は、教育を受けたプロの胚培養士が、しっかりとメンテナンスされた機器を使用し、清潔な環境で仕事をすることで高いレベルを維持しています。このようなメンテナンスを行うことで、培養室のクリーン度を維持しています。
 そして、スタッフ総出で協力して培養室内を綺麗にすることは、スタッフ全員の清潔意識を高めることにも繋がっています。患者さまには、ご迷惑をおかけするかと思いますが、年末年始の採卵中止についてご理解いただけますと幸いです。


培養3日目受精卵の評価方法

掲載日:2014年9月16日

当院ではISO9001を取得しており、患者さまの満足度向上のためにアンケートをお願いしています。
今号では、培養研究部に関する質問でお寄せいただいた「移植受精卵の評価方法」について回答させていただきます。

分割期胚の評価

培養3日目は、細胞分裂が進んで6~9個の細胞を持つ受精卵となります。
このような形態の受精卵を分割期胚と呼びます。

細胞数・細胞同士の大きさ・フラグメントの程度を総合的に評価し、A~Eの5段階で評価 分割期胚の評価1
分割期胚の評価2

桑実胚の評価

成長の進んだ培養3日目以降の受精卵は、細胞同士が密集して接着(compaction)し始め桑実胚と呼ばれる形態となります。

接着の程度により、ComB,ComC,ComDの3段階で評価 桑実胚の評価1
桑実胚の評価2

実際の評価

評価:8A
    評価:8A
    ①細胞数:8
    ②細胞の均一性:均一
    ③フラグメント:少ない

評価:6D
    評価:6D
    ①細胞数:6
    ②細胞の均一性:不均一
    ③フラグメント:少ない

評価:4E
    評価:4E
    ①細胞数:4
    ②細胞の均一性:不均一
    ③フラグメント:多い

評価:ComB
    評価:ComB
    多くの細胞が接着


評価:ComC
    評価:ComC
    接着し始め


培養3日目では、当院の過去の解析結果を元にして作られた上記基準に従って移植する受精卵を選択します。
しかし、現状として形態(見た目)だけの評価は確実ではなく、形態評価が妊娠率や流産率に与える影響を正確に予測することはできません。そのため、評価に関わらず全ての受精卵は妊娠する可能性を持っています。
私たち胚培養士は、患者さまからお預かりした受精卵が最も良い状態で確実に移植できるように成績の良い培養液や インキュベーターを選択し、培養環境の改善を続けていきたいと考えています。


男性不妊症に対する治療方法のご紹介

掲載日:2014年6月23日

男性の100人に1人は精液中に精子が認められない無精子症と言われており、当院ではこのような患者さまに対して、精巣や精巣上体から直接精子を回収する最先端の治療を行っております。
今月号では無精子症の分類や、その治療方法についてご紹介します。

無精子症の分類と精子回収術

精液検査の結果、射出精液中に精子が存在しない場合には無精子症と診断されます。
無精子症は下記のように、閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症に分けられます。

閉塞性無精子症

精巣で作られた精子は、精巣上体、精管を通り精液として射出されます。精液が体外に射出されるまでに通る経路(精路)が炎症により詰まる、または細くなることにより精路通過障害が起きると閉塞性無精子症となります。つまり、精巣で精子を作る能力はあっても、精路が詰まり、射出精液中に精子が認められない状態となります。
 しかし閉塞性無精子症の患者さまは、精巣で精子が作られているため、精巣の精細管や精路となる精巣上体管・精管(右図2)から、後述する精子回収術により高い確率で精子を採取することがでます。

原因となる疾患
・両側精巣上体炎
・小児期両側鼡径ヘルニア術後
・精管切断術後(パイプカット術後)
・原因不明の精路閉塞症
・先天性両側精管欠損症

非閉塞性無精子症

 精巣で精子をつくる機能が低下し、射出精液中に精子が認められないものを非閉塞性無精子症といいます。射出精液中には精子は認められなくても、精巣内の精細管の一部でわずかに精子がつくられていることがあります。そのため、後述する精子回収術によって精子を回収できる場合があります。
 何らかの原因により性腺刺激ホルモンが低下し、造精機能が障害されている場合には、ホルモン補充療法により精子形成が認められるようになることがあります。

原因となる疾患
・クラインフェルター症候群などの染色体異常症
・脳下垂体・視床下部の障害による性腺刺激ホルモンの低下
・おたふくかぜによる精巣炎

男性生殖器の構造



精巣の構造と精子回収術

当院で施行できる精子回収術

●MESA(精巣上体精子回収術) ⇒
    精巣上体管から精子を回収する方法。(対象: 閉塞性無精子症)

●ReVSA (精管精子回収術) ⇒
    精管から精子を回収する方法。(対象: 閉塞性無精子症)

●Conventional TESE(精巣精子回収術) ⇒
    顕微鏡を使用せず、精巣から精巣組織をランダムに採取し、その中から精子を回収する方法。
    (対象:閉塞性無精子症)

●MD-TESE(顕微鏡下精巣精子回収術) ⇒
    顕微鏡を使用して精巣から精子がつくられている
    精細管を見つけ出しその精細管を採取して精子を回収する方法。
    顕微鏡を使用する高い技術が求められるため、
    日本でMD-TESEを施行できる医師や医療機関は限られている。
    (対象:閉塞性無精子症、非閉塞性無精子症)


凍結融解胚移植について

掲載日:2014年3月23日

 前回の季刊誌では、新鮮胚移植よりも凍結融解胚移植の方が高い妊娠率を期待できることから、当院は全ての患者さまに凍結融解胚移植を行っていることを紹介させていただきました。今月号では、受精卵の融解方法と前核期胚または胚盤胞の融解における凍結融解胚移植について説明させていただきます。
凍結に関する内容は季刊誌vol.3を参照してください。

受精卵の融解

受精卵の融解説明1
番号1
 受精卵の凍結に使用する容器を「Top」といいます。Top先端のプラスチックフィラメントに受精卵を載せ、液体窒素につけることで凍結保存を行います。融解時にはTop先端を素早く融解液①に入れ、融解します。


受精卵の融解説明2
番号2
 受精卵の約60%は水分が占めています。凍結時には、水分が氷の結晶となり細胞質は傷害を受けます。
 そのため受精卵凍結時には、細胞質の水分を除いて凍結保護剤と入れ替えています。
 融解時には細胞質に水分を戻さなければならないため、融解液②・③・④と徐々に濃度を変えていき、凍結時に使用した凍結保護剤を浸透圧を利用して除去します。


受精卵の融解説明3
番号3
 融解後は、37℃に加温した状態で、専用の培養液中で移植まで培養を続けます。


3日目移植と胚盤胞移植について

3日目移植と胚盤胞移植について

 当院では受精直後の前核期胚での凍結、または培養して成長した胚盤胞の状態で凍結を行っております。
 前核期胚を融解した場合、体外で3日間培養を行い分割期胚に成長した受精卵を移植します。胚盤胞を融解した場合は融解した当日の午後に移植を行います。
 受精卵を融解し、患者さまの子宮に戻るまでしっかりと管理させていただきます。


凍結融解胚移植の有効性

掲載日:2014年1月10日

凍結融解胚移植とは?

 凍結融解胚移植とは、体外受精や顕微授精で得られた受精卵を凍結保存し、採卵した周期とは別の周期に融解して子宮の中に移植する方法です。これに対して、採卵した周期に得られた受精卵を培養し凍結せずに移植する方法を新鮮胚移植といいます。新鮮胚移植では受精卵を凍結する必要はありませんが、採卵のために行う卵巣刺激の影響で子宮内膜が薄くなり子宮が移植に適さない環境となることがあります。

当院での移植件数の推移

 近年、生殖医療における受精卵の凍結融解技術は飛躍的に向上しました。その結果、当院における過去3年間の受精卵融解時生存率は前核期胚98.8%(9238/9349)、胚盤胞期胚99.9%(2397/2400)となりました。
 そして凍結融解技術の安全性が高まったことにより凍結融解胚移植の件数が大幅に増えました。図1は当院での2007~2012年における新鮮胚移植と凍結融解胚移植の移植件数の推移を表しています。この図より、新鮮胚移植に比べて凍結融解胚移植の件数が増加したことが分かります。
当院での移植件数の推移

各年齢における新鮮胚移植と凍結融解胚移植の妊娠率の比較

 凍結融解胚移植の移植件数が増加した理由は、新鮮胚移植よりも凍結融解胚移植の方が高い妊娠率を期待できるためです。凍結融解胚移植は、移植に適した子宮環境に整えた状態で移植を行うことができるというメリットがあり、新鮮胚移植よりも高い妊娠率を得ることができます。
 図2は2007~2012年における年齢ごとの新鮮胚移植と凍結融解胚移植の妊娠率を表しています。各年齢群ともに凍結融解胚移植の妊娠率が高値となっています。  
 この結果は、海外の文献においても同様の傾向が報告されており、今後、凍結融解胚移植は移植方法のスタンダードとなると考えています。
各年齢における新鮮胚移植と凍結融解胚移植の妊娠率の比較

当院では2013年より新鮮胚移植を中止し、全ての患者さまに凍結融解胚移植を実施しています。

各年齢における新鮮胚移植と凍結融解胚移植の妊娠率の比較


受精卵・精子の凍結保存について

掲載日:2013年6月28日

凍結保存について

受精卵や精子の凍結は、私たち胚培養士が空調が管理されセキュリティの整った培養室内で行います。そのため患者さまには、受精卵や精子の凍結を間近で見ていただくことはできません。しかし患者さまに受精卵や精子がどのように凍結保存されているかを知っていただくことで、少しでも安心して治療に臨んでいただけるのではないかと考え、今月号では受精卵や精子の凍結に用いる器材について簡単に説明させていただきます。
また、下記では凍結検体更新手続き時の注意点についてご案内します。

凍結に用いる器材

受精卵の凍結 受精卵の凍結はCryotop(クライオトップ)と呼ばれるプラスチックのフィラメントの上に少量の凍結保護剤 と共に凍結前処理をした受精卵を載せ、液体窒素(-196℃)に投入することで凍結を行います。
(受精卵凍結の詳しい説明は季刊誌vol.4参照)

 Cryotopはゴブレット[右下図]の中に収納して保管します。その際に、取り間違いを防止するために Cryotopは1本ずつバーコードを貼って管理し全5色で色分けされています。

受精卵の凍結

精子の凍結 精子の凍結は凍結から精子を守る凍結保護剤と呼ばれる液と混ぜられ、専用のストローに詰めて液体窒素で凍結を行います。 精子の凍結

・受精卵を凍結したCryotopや精子を凍結したストローは、ゴブレット[下図]という容器に入れて保管されます。ゴブレットが2本装着できるものをケーン[下図]と呼びます。
・1つのゴブレットにはCryotop又はストローが5本づつ収納できるため、1本のケーンにはCryotopやストローを10本収納できます。
・Cryotopやストローが収納されたケーンは液体窒素で満たされたタンクの中で保管されます。
※受精卵と精子は別々のタンクで、患者さまごとのケーンに保管されます

凍結保存について

凍結検体の更新手続きについて

振込をする際には、受精卵は「奥様の診察券番号と名前」、精子は「旦那様の診察券番号と名前」で 振込お願いします。
※お名前の前には必ず診察券番号を付けてください。
※必ず、受精卵は奥様、精子は旦那様の診察券番号と名前で振り込みをお願いします。

受精卵の凍結期限はコーディネーターから渡される全凍結の報告書または融解胚移植報告書、精子については精液検査報告書に記載されています。凍結期限の更新は凍結期限の月末までにお願いします。
例)2013年8月が凍結期限月の場合、更新を行う期間は2013年8月1日~8月31日となります。

手続きに関する詳しい説明は報告書と共にお渡ししている「更新のご案内」や当院受付前に置かれている「凍結保存検体がある患者様へ」というリーフレットで確認していただけます。


受精卵の成長 (2)

掲載日:2012年12月20日
前回(受精卵の成長 (1))はこちら 受精卵の成長 (2)
テキストはこちら
前号では、培養1日目~3日目の受精卵の状態とその評価方法について紹介しました。 今号では、培養5日目以降の受精卵について紹介していきます。

胚盤胞への発育
培養3日目の受精卵は細胞分裂を続けると、やがて細胞同士が密着し結合を始めます。さらに成長を続けると細胞質内部に隙間ができて胞胚腔を形成し初期胚盤胞(図1)となり、胞胚腔が拡大すると胚盤胞(図2)へと成長します。培養5日目には胞胚腔は受精卵全体に広がり、将来、胎児となる内部細胞塊(ICM)と胎盤になる栄養外胚葉(TE)の識別が可能な完全胚盤胞(図3)となります。完全胚盤胞の胞胚腔が拡張すると胚盤胞を包む透明帯は薄くなり拡張胚盤胞(図4)となります。
 さらに胚盤胞の発育が進むと、薄くなった透明帯が破れて胚盤胞は透明帯の外に脱出します。これを孵化(hatching)といい、孵化の途中の胚盤胞を孵化中胚盤胞(図5)、孵化した後の胚盤胞を孵化後胚盤胞(図6)といいます。胚盤胞凍結を予定している患者さまは、図3~6の胚盤胞が対象となります。

胚盤胞の評価
胚盤胞は、胞胚膣の広がりと孵化の程度によって以下のように「1~6段階の評価」 を行います。

 1.初期胚盤胞(Early blastocyst)
 2.胚盤胞(Blastocyst)
 3.完全胚盤胞(Full blastocyst)
 4.拡張胚盤胞(Expanded blastocyst)
 5.孵化中胚盤胞(Hatching blastocyst)
 6.孵化後胚盤胞(Hatched blastocyst)

胚盤胞の内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)はそれぞれA~Cの3段階の評価を行います。


受精卵の成長 (1)

掲載日:2012年9月19日
学会 体外受精により得られた受精卵は1日~6日間、体外で培養を行います。 胚移植・凍結に向けて複数個の受精卵を体外で培養するとき、最も状態の良い受精卵を選択するために培養期間中には観察が必要となります。当院の観察は受精操作翌日を1日目として1・3・5・6日目に、受精卵の成長段階に合わせて的確な評価を行います。 今号では、培養1日目~3日目の受精卵の状態とその評価方法について紹介します。

受精操作を行った翌日(培養1日目)に受精の確認を行います。
正常な受精卵には精子由来の雄性前核と、卵子由来の雌性前核の2つの前核が見えます。(左写真) この2つの前核は、受精後22時間程度で融合して1つとなり消えてしまいます。そのため、観察は朝の8時に必ず行います。 全胚凍結の患者さまは、この状態で凍結を行います。前核が3個以上みられる受精卵は多前核といい、当院では染色体異常の可能性があるため原則として移植や凍結の対象とはなりません。


受精後、1つの細胞であった受精卵は細胞分裂(1細胞→2細胞→4細胞→8細胞・・・)を繰り返していきます。
左の写真は4細胞期胚の写真です。




培養3日目では、発育が順調に進むと細胞数が8個の8細胞期胚(左写真)に到達します。培養3日目の受精卵は、細胞数(7~9細胞が良好)・細胞同士大きさ(均一なほど良好)・フラグメント(少ないほど良好)を総合的に評価します。フラグメントとは、受精卵が細胞分裂をする際に発生する細胞断片です。
 3日目で移植を予定している場合は、この基準に従って最も状態のよい受精卵を移植に用います。
学会
 次号へ続く

体外での受精操作について

掲載日:2012年6月12日

 高度生殖医療(ART)では、本来であれば体内で行われる卵子と精子の受精を体外で行います。この受精操作には2種類の方法があります。1つは、卵子の細胞質内に直接精子を注入することで受精させる顕微授精(ICSI)、もう1つは卵子の周りに精子をふりかけて精子自らの力で受精させる体外受精(Conventional-IVF)です。
これらの方法により得られた正常な受精卵は体外で一定期間培養し、子宮内に移植されます。ARTにより誕生した赤ちゃんは世界で500万人を超え、日本でも毎年約2万人(誕生する赤ちゃんの約50に1人の割合)の赤ちゃんが誕生しています。
 今号では、顕微授精(ICSI)と体外受精(Conventional IVF)について分かりやすく説明いたします。

顕微授精(ICSI)

顕微授精(ICSI) 卵子は120μm(約1mmの1/10)と顕微鏡で拡大しないと見えない大きさのため、ICSIには高度な技術や経験、設備が必要となります。運動精子が少なく精子の運動が弱い、また抗精子抗体陽性など受精障害のある患者さまは体外受精による受精が難しい場合があり、このような症例にはICSIが必要となります。
 当院では、泌尿器科のドクターと連携し無精子症の患者さまへの治療として顕微鏡下精巣精子回収術(MD-TESE)や精巣上体精子回収術(MESA)で採取された精子を用いてのICSIも行っています。
顕微授精(ICSI)の説明
①ガラス管で卵子を固定します。細いガラス針には1精子吸引します。
②精子を細いガラス針の先端に止めた状態に保ちます。
 この状態で針先を押し進めて卵子の細胞膜を破り、細胞質の中に精子を入れます。

ICSIのポイント!
ICSIは、たくさんの精子の中から受精に適した形態が良く運動性の高い精子を選択し受精操作に用います。
そして選んだ精子に不動化という処理を行います。精子不動化では精子の尾部を細いガラス管でこすりつけることによって精子の運動を止めます。この処理は、精子から卵子を活性化する因子を漏出させるきっかけとなります。精子不動化を行った直後にICSIを行うと、精子から卵子細胞質内に卵子活性化因子が漏出し、受精へと繋がります。そのためICSIにおいて精子不動化は重要なステップとなります。

体外での受精操作について

体外での受精操作について 体外受精(Conventional-IVF)
 体外受精とは、採取された卵子を体外受精用の培養液に移し、卵子の周りに濃度を調整した精子を加えて受精させる方法です。
利点は、精子自らの力で卵子の透明帯を通過して受精するため体内での受精環境に近いことです。 しかし、欠点として運動精子数が少ない場合や、精子の運動が弱い場合、また原因不明の受精障害のある患者さまは体外受精による受精が難しい場合があり、時には全く受精卵が得られない場合もあります。そのため当院では初回の治療でも体外受精と顕微授精を併用することを基本としています。また前回の治療で、体外受精の受精率が良くなかった場合や採取された卵子数が少ないときには受精操作はICSIを優先しています。

取り間違いを防ぐために

培養室では患者さまの大切な受精卵や精子を扱います。このとき、受精卵や精子の取り間違いは絶対にあってはなりません。私たちは取り間違いを防ぐために、全ての培養業務においてダブルチェックを徹底しています。
ダブルチェックとは、患者さまの受精卵や精子を扱う際、患者さまの氏名を2人の胚培養士が同時に確認を行うことです。そのため、ダブルチェックは培養室内の業務の中で最も重要な仕事の1つです。 体外での受精操作について  ダブルチェックの他に、取り間違いを防ぐ試みとして、患者さまの氏名を「赤・青・緑・黒・紫・茶・オレンジ」の7色に分けています。
氏名だけでなく、色によっても識別することができるため、同姓や同名の患者さまがいたときに識別が容易となります。
 ダブルチェックを行う場面は数多くありますが、具体例として「受精卵の移し替え時のダブルチェック」をご紹介します。
「受精卵の移し替え」とは、受精卵を新しい培養液に替える操作のことです。当院では、培養3日目と5日目に培養液の交換を行います。ダブルチェック時には2名の胚培養士が記録用紙を基に以下のような患者様識別の3原則に従って患者さまの名前を声に出し、指さし確認を行います。

患者様識別の3原則
①患者様氏名のフルネーム、②診察券番号、③氏名の色

体外での受精操作について 当院ではダブルチェックにもトレーニングを導入し、トレーニングに合格したスタッフ同士でないとダブルチェックを行うことができません。培養研究部には胚培養士が20名在籍しているため、全ての培養業務に細かなダブルチェックを導入することができます。これらのチェック体制は日曜祝日問わず毎日十分なスタッフを勤務させ滞りなくまた例外なく実施し、培養業務に努めています。



受精卵の凍結

掲載日:2011年9月27日

なぜ受精卵を凍結するのか?

○1度の採卵で胚移植数回分の受精卵を凍結することができれば採卵による負担を軽減することができます。
○採卵した周期の子宮環境が移植に適さないときには妊娠する可能性が低いため、受精卵を凍結します。そうすることで次周期に子宮環境を整えた状態で移植を行うことができます。
○採卵した周期に移植を行うと卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症する可能性があります。 しかし、受精卵を凍結し次周期に移植することでOHSSを回避することができます。
○移植に用いなかった余剰胚を培養してできた胚盤胞は、凍結することで胚移植の機会を増やすことができます。

凍結方法について

 受精卵の大部分(約60%)は水分でできており、そのまま凍結すると細胞内で水分が結晶化し体積が大きくなることで細胞に亀裂が生じ壊れてしまいます。凍結保存の技術によってこのような障害が起こらないようにしています。
 当院で行われている凍結方法はガラス化法という方法です。ガラス化法では、受精卵の水分を凍結保護剤と入れ替え、常温から一気に液体窒素の中(-196℃)に浸し凍結を行うため、細胞内で水分が結晶化することなく凍結を行うことができます。
現在、当院で凍結した受精卵を融解した際の生存率は前核期胚で98.8%、胚盤胞で99.7%となっています。

手技の様子

受精卵の凍結

凍結の容器について
 「Top」とは受精卵凍結専用の容器であり、先端にある幅0.8mmのプラスチック状の板に受精卵を載せることができます。Top本体には1本1本バーコードを貼って区別しており、融解時に間違えることがないように管理しています。
 Topを収納するための専用の容器を「ケーン」と呼び、1本のケーンで10本のTopを入れることができます。


採卵から検卵までの流れ

掲載日:2011年9月27日
 採卵とは超音波モニターを用いて卵巣の位置を確認しながら卵胞を穿刺し、卵子が含まれる卵胞液を回収することです。医師が採卵を行い、胚培養士はその検卵を行います。
 採卵により回収された卵胞液は、採卵室と培養室をつなぐPass boxを介して培養室内に運ばれ、顕微鏡を用いて卵胞液の中から卵子を見つけ出します。
 この操作を検卵といい、回収した卵子は培養液で洗浄後、直ちに受精卵の培養に用いられるインキュベーターに保管されます。
 この時に必ず、検卵者はdishに書かれた患者さまの名前を他の胚培養士と同時にダブルチェックし、卵子の取り違えを防止しています。

 検卵終了後に、他の胚培養士がもう1度卵胞液に卵子の見逃しがないかダブルチェックを行います。
 これを再検と言い、患者さまから採取された卵子を1つも見逃すことなく全て回収するために行っています。

 このように当培養室内の業務では一人で進める項目は一つもなく、必ず2人以上そして2回以上の確認を行っています。
採卵から検卵までの流れ

1

品川クリニック
品川駅徒歩3分

無料説明会
毎月開催
完全予約制

1分でわかる浅田LCの治療方針特徴