Freeze All(受精卵全凍結)
移植の方法としては、採卵受精操作を行いできた受精卵を、 凍結せずに同じ周期で移植を行う方法(新鮮胚移植)と 受精卵を一度凍結し、別の周期で子宮内膜を作り、 凍結した受精卵を溶かして移植する方法(凍結融解胚移植)があります。
2007年頃より凍結方法の進歩により凍結融解操作による受精卵の生存率は非常に良くなり、 現在は99%以上の生存率になっています。
その後数年間データを解析し同年齢において常に移植1回あたり数%妊娠率が良いことを確認し、 2012年よりFreeze Allを行うようになりました。
その為、当院での胚移植は全て凍結融解胚移植となります。
体外受精による児は年々増加していると共に、 凍結融解胚移植による出生児が 年々増加していることがわかります。

FET出生児:凍結融解胚移植による出生児
ICSI出生児:顕微授精後、新鮮胚移植による出生児
IVF出生児:一般体外受精後、新鮮胚移植による出生児
当院でも当初は新鮮胚移植を行っていました。当院のデータを長年にわたり解析したところ、 同じ年齢においても常に凍結融解胚移植のほうが5~10%妊娠率がいいという結果になりました。
下図は2007~2012年における年齢ごとの新鮮胚移植と凍結融解胚移植の妊娠率を表しています。各年齢群ともに凍結融解胚移植の妊娠率が高値となっています。
この結果は、海外の文献においても同様の傾向が報告されており、今後、凍結融解胚移植は移植方法のスタンダードとなると考えています。

②凍結融解胚移植の方が着床のためのホルモン環境が良いため
成熟卵を得るために、卵巣を刺激すると卵胞ホルモンが上昇します。
それとともに卵子が成熟に近づくにつれ、黄体ホルモンも上昇してきます。 黄体ホルモンは着床の準備をするホルモンです。
卵巣刺激をすると黄体ホルモンが早く出すぎて子宮内膜が変化し、着床を妨げる要因になります。 また、卵巣刺激から続けて新鮮胚移植をすると、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)を発症することもあります。
新鮮胚移植をやめること、また、卵巣刺激をアンタゴニスト法で行うことによって、 OHSSは全面的に回避できるようになりました。
新鮮胚移植をやめることで成熟卵を得る良いタイミングで採卵でき、 凍結融解胚移植で子宮内膜の発育と受精卵を同期化させ高い妊娠率が得られます。
しかし、まだ多くの施設ではその施設の凍結技術水準により Freeze Allに踏み切れていないのが現状です。
浅田レディースクリニックでは全症例 『 Freeze All 』 とし、
凍結融解胚移植を実施しています。