精子の役割はDNA配達

精子と卵子のすさまじいギャップ

精子の役割はDNA配達 精子の役割は人間の設計図の半分を持ち込んで、卵の新しい生命活動のスイッチをオンにする。それだけです。
もともと精子はDNAというデータをガッチリ圧縮したようなもので、そこにエネルギー源のミトコンドリアをくっつけて、しっぽをつけただけのものです。
他に染色体分離のための要素もありますが、DNA以外は、精子が卵子に行き届くためのもので、DNAを無事運び込みさえすれば、あとは用済みです。
いってみれば精子の良い悪しは、生きているかどうか、DNAが壊れていないかだけです。普通の妊娠や人工授精、体外受精なら、ある程度の数や元気がいいかどうかも関係ありますが、顕微授精では関係ありません。
卵が単細胞のまま何十年と生き、どんどん数が減っていくのに対して、精子はすさまじい大量生産です。1匹の精子がその大もとから成長するにはやはり80日くらいかかりますが、それでも1秒に数百個くらい、1日に1千万から1億以上の精子を大量生産しています。
年齢も関係ありません。60代でも70代でも精子は生産されますし、その精子で妊娠可能です。それくらい細胞分裂して毎日どんどんできます。


卵子の役割は遺伝子の組み換えと修飾 一方、卵子の役割は何かといえば、精子からきた染色体の半分と、卵子の染色体を組み合わせることです。さらに組み合わせただけでは終わらず、そこで遺伝子の組み換えとか修飾を行います。
同じご両親からいろんな兄弟が生まれることを考えてみてください。受精の段階で、わざわざ遺伝子を組み換えし、修飾を起こすから、同じ親からの遺伝子でも顔や性格、体質も違う子供が生まれます。親が持ってない病気を子供が持っていたり、極端に言えば、普通の親からオリンピック選手や天才などと言われる子供ができたりもするわけです。
また、天変地異があったり、病気が流行ったりした時に、みんな同じだったら人類はあっという間に絶滅してしまいます。そういう時に生き残り、次の世代に人類を残すためにはいろいろな人間がいなくてはいけません。そのために、常に遺伝子、染色体の組み換えが自然に起きています。それが生物の多様性です。
卵子の中には、最初からDNAの半分以外の、卵の初期の発育に必要な栄養も素材も全部詰まっています。足りないのは精子が運んでくる遺伝子だけ。つまり、女性は「自分の赤ちゃん」の素もとのほとんどを持って生まれてくるのです。
この精子と卵子のギャップゆえ、生殖に関しては、決して男女平等ではないのです。