培養室(ラボラトリー)

男性不妊症に対する治療方法のご紹介

掲載日:2014年6月23日

男性の100人に1人は精液中に精子が認められない無精子症と言われており、当院ではこのような患者さまに対して、精巣や精巣上体から直接精子を回収する最先端の治療を行っております。
今月号では無精子症の分類や、その治療方法についてご紹介します。

無精子症の分類と精子回収術

精液検査の結果、射出精液中に精子が存在しない場合には無精子症と診断されます。
無精子症は下記のように、閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症に分けられます。

閉塞性無精子症

精巣で作られた精子は、精巣上体、精管を通り精液として射出されます。精液が体外に射出されるまでに通る経路(精路)が炎症により詰まる、または細くなることにより精路通過障害が起きると閉塞性無精子症となります。つまり、精巣で精子を作る能力はあっても、精路が詰まり、射出精液中に精子が認められない状態となります。
 しかし閉塞性無精子症の患者さまは、精巣で精子が作られているため、精巣の精細管や精路となる精巣上体管・精管(右図2)から、後述する精子回収術により高い確率で精子を採取することがでます。

原因となる疾患
・両側精巣上体炎
・小児期両側鼡径ヘルニア術後
・精管切断術後(パイプカット術後)
・原因不明の精路閉塞症
・先天性両側精管欠損症

非閉塞性無精子症

 精巣で精子をつくる機能が低下し、射出精液中に精子が認められないものを非閉塞性無精子症といいます。射出精液中には精子は認められなくても、精巣内の精細管の一部でわずかに精子がつくられていることがあります。そのため、後述する精子回収術によって精子を回収できる場合があります。
 何らかの原因により性腺刺激ホルモンが低下し、造精機能が障害されている場合には、ホルモン補充療法により精子形成が認められるようになることがあります。

原因となる疾患
・クラインフェルター症候群などの染色体異常症
・脳下垂体・視床下部の障害による性腺刺激ホルモンの低下
・おたふくかぜによる精巣炎

男性生殖器の構造



精巣の構造と精子回収術

当院で施行できる精子回収術

●MESA(精巣上体精子回収術) ⇒
    精巣上体管から精子を回収する方法。(対象: 閉塞性無精子症)

●ReVSA (精管精子回収術) ⇒
    精管から精子を回収する方法。(対象: 閉塞性無精子症)

●Conventional TESE(精巣精子回収術) ⇒
    顕微鏡を使用せず、精巣から精巣組織をランダムに採取し、その中から精子を回収する方法。
    (対象:閉塞性無精子症)

●MD-TESE(顕微鏡下精巣精子回収術) ⇒
    顕微鏡を使用して精巣から精子がつくられている
    精細管を見つけ出しその精細管を採取して精子を回収する方法。
    顕微鏡を使用する高い技術が求められるため、
    日本でMD-TESEを施行できる医師や医療機関は限られている。
    (対象:閉塞性無精子症、非閉塞性無精子症)


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